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1.はじめに

病床機能分化、医療資源の偏在といった医療現場の課題を改善する一つの方法として、「地域医療連 携ネットワーク」があげられています。地域医療連携ネットワークは、平成 21 年の「地域医療再生基 金」をうけて急速に普及し始め、現在では 270 余りの地域医療連携ネットワークが構築・運営されて います(日医総研ワーキングペーパー 「ICT を利用した全国地域医療連携の概況(2016 年度版)」よ り引用)。しかしながら再生基金のリプレース時期にあたる今、事業継続性が各地域医療ネットワーク の重要テーマとなっており、標準化の普及によるマルチベンダー間連携のコスト削減も求められていま す。また安倍政権による「未来投資戦略 2017」で示されるように国の動向も活発になってきました。

今回は、その動向を整理しながら、本委員会での活動について紹介していきます。

地域医療連携ネットワークの

2.国の動向

(1)未来投資戦略2017

平成 29 年 6 月に閣議決定された「未来投資戦略 2017」では、Society5.0 の実現に向けて5つの戦 略分野の筆頭として「健康寿命の延伸」が掲げられており、中期工程表「健康・医療・介護」では「医 療等分野における ID の導入」「ビッグデータ活用等」「個人の医療・健康情報の統合的な活用」、「自立 支援・重症化防止に向けた科学的介護の実現」などのテーマ毎に工程が示されています。それに沿う形 で各種事業や施策が検討されており、その中でも地域医療システム委員会に関連するものについて、い くつか取り上げ紹介します。

(2)総務省クラウド型EHR高度化補助事業

各地の EHR のシステム資産を有効活用しつつ、クラウド技術を活用して EHR を高度化することで、

地域の医療機関、介護事業者等の双方向の情報連携や異なる地域の医療情報ネットワーク間の接続・情 報連携、蓄積された診療情報の二次利用を可能とし、効果的な地域包括ケアや地域を越えた広域の医療 情報連携の全国への普及展開へ寄与することを目的とし、2017 年度全国 16 の地域で事業が実施され ています。

この中で医療と包括ケアとの連携、広域の医療情報連携を実現するための中核的技術となっている のが「IHE-ITI」であり、JAHIS 技術文書である「JAHIS IHE-ITI を用いた医療情報連携基盤実装ガイド 本編(検討時 Ver3.0)」をベースに事業における共通仕様が検討されました。JAHIS では地域医療連携  IHE-ITI 検討 WG のメンバーを中心に、総務省クラウド型EHR高度化補助事業の共通仕様策定会議に オブザーバ参加し、各検討項目に対して、意見の提示を行っています。

(3)科学的介護と介護現場のICT化推進施策とデータヘルス改革

2020 年に向けて地域医療連携システムに大きな影響を与えると思われるものとして、「科学的介護 と介護現場の ICT 化推進施策」と「データヘルス改革」をあげます。

前者は科学的に自立支援等の効果が裏付けられた介護を実現するために、科学的分析に必要なデー タを新たに収集し、世界に例のないデータベースをゼロから構築するもので保険医療データプラット フォームに「診療・介護記録」「リハビリデータ」「要介護認定情報等」が収集されることが構想されて います。

後者のデータヘルス改革では、「健康情報」「診療情報」「処方情報」を保険医療記録共有サービスに 蓄積することが構想されており、2018 年度夏を目途に工程表が提示される計画となっています。

地域医療システム委員会ではこれら動向に注視し、適切に対応を図っていく予定です。

3.地域医療システム委員会の対応

上述の国の動向を踏まえて、以下の4つの WG にて各種課題に取り組んでいます。

(1)医療介護連携WG

医療介護連携の標準化推進に向け、厚生労働省老健局・保険局、総務省などを中心にこれら部局との

協議や各種 WG への出席を行い、情報共有を図っています。平成 29 年度からは診療文書標準化WGと ともに今後の医療介護連携における標準化の方向性の整理を行い、医療介護連携の標準化を推進してい ます。

(2)地域医療連携 IHE-ITI検討WG

IHE-ITI に関する情報収集、技術実装に関する課題を踏まえて「JAHIS IHE-ITI を用いた医療情報連携 基盤実装ガイド本編」の改訂を中心に活動を行っています。今後、現在未検討の地域医療連携に必要と なるプロファイルについても検討を進めていきます。

(3)地域医療連携 診療文書標準化WG

地域医療連携を行うにあたり、連携ニーズ高い診療文書の標準化を定めることを目的として活動を実 施しました。SS-MIX2 標準化ストレージに格納される情報以外で連携ニーズが高い文書として経過記 録を JAHIS 標準化し、また医療介護連携分野を中心に標準化すべき文書の整理を推進しています。

(4)地域医療連携 画像検討WG

地域医療連携 IHE-ITI 検討 WG と同様に、医療情報連携基盤実装ガイドのブラッシュアップをしてい く中で、特に画像情報連携(XDS-I,XCA-I)について検討していきます。その際、レポートや放射線画 像以外の MFER(Medical waveform Format Encoding Rules)波形画像などの画像の扱いも議論して いく予定です。

4.まとめ

地域医療連携ネットワークは特に地域医療連携ネットワーク間を繋ぐ広域連携や、一つの地域医療連 携ネットワーク内で介護、在宅、薬局等いった連携する施設の種類が増えると予想されます。更に地域 包括ケアシステムへの対応や個人が自らの情報を管理して健康に活かせる PHR の構築、オンライン診 療、看取りの ICT 化なども進むと思われます。また保険医療記録共有サービスのような全国レベルのプ ラットフォームの構築も具体化が進むと思われます。今後も国の施策の共有・提言、標準化への対応な ど JAHIS の役割の重要性が増してきます。地域医療連携ネットワークを中心に検討を重ねている地域 医療システム委員会は、平成 30 年度もさらに活発に活動して、医療業界を盛り上げていく次第です。

  以上

JAHIS 会員の皆様には、平素より事業推進部教育事業の運営に大変ご協力いただき厚くお礼を申し 上げます。事業推進部教育事業委員会の委員長を務めておりますNTTデータの三田村と申します。

教育事業委員会としては、「医療情報システム入門コース」等の教育事業を実施させていただいてお りますが、昨年度は JAHIS 会員様へのサービス向上を狙いとした新たな取り組みとして、4回にわた り「JAHIS 勉強会」を実施させていただきました。「JAHIS 勉強会」の模様をご報告させていただきま す。

1.「医療関係者対応ビジネスマナー」の活動状況

 ・開催日:7/28 午前   定員:30 名  受講者:28 名  場所:JAHIS 会議室       7/28 午後   定員:30 名  受講者:30 名  場所:JAHIS 会議室    * JAHIS 会誌 61 号にてご報告しております。

2.「データ利活用」の活動状況

 ・開催日:9/8   午後   定員:90 名  受講者:96 名  場所:JAHIS 会議室

勉強会「データ利活用」に関しては、3名の著名な方にご講演いただきました。最初に厚生労働省保 険システム高度化推進室長の赤羽根様より「ナショナルデータベース(NDB)におけるデータ利活用 の現状と今後について」と題して、レセプト情報・特定健診等情報データベースの取り組み方や課題に ついて、丁寧にご解説いただきました。次に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療情 報活用推進室調査役の山口様より「医療情報データベース(MID−NET)の本格稼働に向けた準備 状況について」と題して、MID−NET事業の仕組みや進捗状況のご説明を伺いました。最後に独立 行政法人国立病院機構本部情報システム統括部副部長の渡辺様より、「国立病院機構の診療情報集積基 盤(NCDA)における、データ利活用の現状と今後」と題して、事業の背景や成果についてご講演を いただきました。当勉強会は当初 60 名定員でしたが、非常に反響があり早々に定員が埋まってしまっ たため、定員を 90 名に増やすことといたしました。それでも定員オーバーしてしまい、最終的には申 しこもうとされた方でも、席を確保できずお断りすることとなってしまいました。会員の方にはご迷惑